新入生自己紹介 林田勇太(M1)

2021年05月10日

みなさんはじめまして、こんにちは。2021年4月から入学した、人間社会科学研究科/国際教育開発プログラムの林田勇太です。人間社会科学研究科という所属名はとても長いため、研究科生の間では端折ってシャケと呼んでいます(まだ僕だけですが)。

さて、現在僕は大学院で国際協力という分野を専攻しており、将来は何らかの形で国際協力に貢献できる仕事をしたいと考えています。では、昔から国際協力という分野に興味があったのか?というと、実は全くそうではありません。元々の夢は高校で世界史を教えること、つまり社会科の教員になることでした。大学は広島大学の教育学部という、社会科の教員養成コースに所属していました。

以下では「なぜ教員志望から国際協力へと進路の舵を切ったのか?」を軸に、現在に至るまでの経緯を振り返りたいと思います。僕の経験が、院進や進路変更について考える人たちにとって参考になれば幸いです。

教育実習で、進路選択に悩む

進路について悩みだした大きなきっかけは、学部3年時(2019年)に行った「教育実習」でした。 教育実習では、広島大学の附属高校で世界史を担当しました。ある時、クラスで授業中一人だけノートも取らずにずっとボーッとしている外国人の子(エリー君)がいました。先生に尋ねたところ、エリー君はペルー人の留学生なのですが、日本語も英語もわからないにも関わらず、留学システムのミスから日本に来ることになったそうです。教室では友達もできず、授業もついていけず、完全に疎外されていました。休み時間に拙いスペイン語で話しかけると、初めてパァーッとした屈託のない笑顔と透き通った目を見せてくれ、言葉にできない感情が込み上げてきたことを覚えています。言葉では“Hola”という一言しか交わせませんでしたが、心では確実に通じ合っていました。その時抱いた感情と、自分自身が奨学金によって大学に通っている原体験が重なり、「恵まれた人への教育は俺じゃなくてもできるけど、自分が本当にやりたいことは、エリー君のように困難な環境の人たちを助けることなのではないか?」と考えました。加えて教員の労働環境や多忙さを肌で感じ、これまで抱いていた「教員になりたい」という軸が、皮肉にも教育実習によって転倒させられました。

日下部先生との出会い

教育実習を経た大学3年の秋から、自分の進路を真剣に考え出しました。丁度その頃たまたま、JOCV(青年海外協力隊)経験者の話を聞くセミナーに参加しました。セミナーでは教育学部からJOCVを経験した方と出会い、“国際協力“という道を知るきっかけとなりました。(その時会った太田さんは、奇遇にも日下部先生のゼミ生でした)そして、どうやら広島大学には国際協力分野を専攻できる大学院が存在するということも知りました。

教育学部の同期から「IDEC(旧国際協力研究科)」の先輩となる三舛さんを紹介してもらい、三舛さん・太田さんから日下部先生を紹介してもらい、3年の3月に研究室訪問をさせてもらいました。緊張や不安でいっぱいだった訪問前の予想とは裏腹に、研究室の雰囲気はとても温かいものでした。お茶を飲みながら、研究だけでなく進路の相談や下世話な話まで色々聞いてもらい、自分の進みたい方向が整理されました。

自分の原体験や教育実習の経験から、以前より「教育格差」に深い関心がありました。他方、学部では地理を専攻しており、「インド」について地理的な視点から見ていました。この二つを結びつけて、大学院では「インドの教育格差」をテーマに、とりわけ首都圏郊外で急速に数を増やす中間層向けの私立学校(Delhi Public School)に焦点を当て、生まれの格差にどのようなインパクトをもたらすのか、を研究したいと考えています。

■今どんなことをしているか

僕が現在所属する国際教育開発プログラム(旧 IDEC)には、様々なバックグラウンドを持った人々が属しています。出身大学はもちろん、キャリア・出身国・言語・宗教・文化… 一見すれば何の共通点もありません。ですが、全く違う背景があるからこそ、毎日が新しい発見ばかりです。英語による講義・新しい分野の勉強・研究で、バタバタしたり勉強が足りないなと痛感したりもありますが、周りの人のおかげで楽しく面白い日々を過ごしています。