新入生自己紹介 大庭フランシス光瑠

2022年10月04日

Introduction

はじめまして。広島大学人間社会科学研究科教育科学専攻国際教育開発プログラムに令和4年度から入学しました大庭フランシス光瑠(おおば ふらんしすひかる)です。私がなぜ大学院に入学しようとしたのか、現在どんなテーマに興味をもって研究しようとしているのか紹介します。

私は広島大学法学部出身で、国際政治学、国際環境法、平和学を学習・研究しておりました。特に私は「中心・周辺モデル」に興味をもち、収奪する・されるという構造にどうにかしてアプローチができないか考えるために研究の道を志しました。学部時代、短期海外研修[1]、ボランティア活動[2]、国際大会の参加[3]や学外研究発表など様々な経験を経て自分自身は何者かという問いと向き合い続けた結果、教育と政治という視座から世界の課題解決に貢献したいと考えるようになりました。この思いを強めたのはある研究機関でのインターンシップへの参加でした。広島大学内にある教育開発国際協力研究センター(CICE[4])が学生インターンシップを募集していることを知った私は学部3年生の時からCICEインターンシップに参加し、国際教育開発の研究に触れ、中心と周辺の構造の研究を通して、開発の実践に貢献し、実務と研究の両立をおこなえる人材として社会貢献したいと強く希望するようになりました。またこのインターンが日下部先生との出会いでもありました。日下部先生のもとでインターンとして働くうちに彼の深い人間性に触れ、日下部先生のような研究者になりたいと思い、日下部研究室への入学を志望しました。法学部での学びはコロナ禍の影響もあり理論に基づく研究であったため、大学院でフィールドワークやプロジェクトへの参加を通じた実践に近い環境での研究が楽しみです。

研究テーマについて

現在私は「政治資源の地域特性・地域偏在」をテーマに研究しています。人々の政治的な意思決定に地域の文化や制度がどのような影響を及ぼすのか、地域ごとに、都市や農村ごとに差異はあるかという視点で研究したいと考えています。研究のフィールドはインドネシアを予定しており、制度のレビューや地域の特色の観察、大学の視察、住民の方へのインタビューなど調査したいことが山積みで、リサーチデザインを今一度考えなおしている段階です。大学院での授業は開発理論の授業やプロジェクトデザインなどを学んでおり、日々新しい発見の積み重ねです。自分の研究に活かせるようにただ授業に参加するのではなく、自分ごと化して考えるようにしていて、毎日が楽しいです。

私は広島大学に入学して、環境やご縁にめぐまれ、得た経験や学んだことに影響を受けた政治観を持っています[5]。この原体験からヒロシマという地域特性や、広島大学というシステムが提供するものから政治観への影響について考えうるのではないかと考え始めたのが研究テーマ設定のきっかけです。もし政治資源について考察することができれば、そこから「善い政治」とは結局のところいかなるものか改めて考える材料となることを期待してこの研究を進めていきたいと考えています。修了後は博士課程後期に進学しさらに研究を進めていきたいと考えています。

終わりに

最後に私自身の性質をもっとも表しているものとして、私の座右の銘を紹介いたします。「義を見てせざるは勇なきなり」。これは論語の言葉で、行うべき義があることをわかっていてそれをしないことをよしとしない、というものです。私は今まで活動・学びの機会や日下部先生やゼミの先輩方をはじめとする周りの人々に恵まれていたと感じるからこそ、私のするべきことを見つけ、全力でそれに臨みたいと考えています。向上心を忘れず、正義を全うした人生を送っていきたいです。さらに向こうへ!


[1] 広島大学は学部1年生が参加する海外研修プログラムとしてSTARTプログラムというものがあり、2週間インドネシアに派遣されました。インドネシアの大学で授業を受けたり、農村で実習をおこなったりするプロジェクトで、国際協力に興味を持つ大きな契機となりました。

[2] 仲間を集めてサークルを立ち上げ、ミャンマーの身障者の方々を支援するプロジェクトを現地NGOと共同で実施し、大学生としてのできる限りの貢献とその限界を知った経験でした。

[3] 2020年度に「国際環境法模擬裁判大会」に参加しアジア予選へ進出、入賞したものの世界大会へは程遠かった。この経験は自身が国際的な舞台におけるパフォーマンスが未熟なものであったか理解する契機となり、以降国際的な問題できる人間になりたいと強く希望するようになりました。

[4] 広島大学教育開発国際協力研究センター(トップページ | 広島大学教育開発国際協力研究センター CICE (hiroshima-u.ac.jp)は開発途上国に対する教育分野での国際協力について実践的な観点から研究・開発を行い、加えて大学を中心とした国内外のネットワークを形成し、その拠点的機能を果たすことを目的とする研究機関。

[5] たとえば、広島にくる以前より核兵器廃絶に強く関心を持つようになり、核兵器禁止条約をめぐる日本や各国の政治的動向を注視するようになったという政治観の変化を体験しています。